フランツ・リストの楽曲と向き合ったとき、それまでの決まりきった形式や調性から抜け出そうとする実験的な精神と「ピアノの魔術師」といわれる超絶技巧に基づいて、あまりにも繊細で豊かな情緒が表現されていることに改めて驚かされる。 なかでも即興の名手でもあったリストが楽曲に次々にアドリブを加え、音の実験を楽しんでいたことは非常に興味深く、今回我々はこの「見えない音」に注目し、乱数を取り入れた作品の制作を行った。ランダムなアルゴリズムを使うことで起こる化学反応、予定調和しない音と映像の世界に放り込まれることによって、一種の緊張感がもたらされるだろう。
それはもしかしたら、ピアノを壊したり気絶したりしたという「予定調和しない」リストの演奏会に赴く気分に似ているかもしれない。 果たしてどのような予期しない美しさに触れることができるのか、リストが音楽界に新風を吹き込んだように、これまでになかった体験を提供したい。
